今回の講義も大変貴重です。以下、ポイントとしてまとめました。
1. 東京歯科大の松永智先生の講義は施設長の母堂の遺産の剖検体の分析です。20 年前に埋入した組織分析で、大変貴重な新見解が出ており、施設長の思いも深いものがあります。
2. 渡辺久先生は施設長の所属医科歯科の歯周の准教授でレーザー学会の会長を歴任した方で、今期から王子歯科美容外科クリニックの非常勤となり、東京形成歯科研究会に御指導を頂き顧問的な存在です。今後の繋がりに注目してください。
3. 三橋明先生はスタディークラブの開業医の立場から、臨床例をお話して頂くことになっています。他の施設の人間がどのような研鑽をしているかを伺う良き機会です。
4. 川瀬知之先生による基礎プロジェクト研究のガイダンスが有ります。共同研究は、「論文」作成及び JSOI各大会「口頭発表」につながります。論文作成・実績(筆頭著者・共著者)、JSOI 口頭発表(主演者・共同演者)をご希望の先生(東京形成歯科研究会会員に限ります)は、このガイダンスにご出席願います。ガイダンスをお聞きの上、共同研究に参加するか否かご判断下さい。
5.各分野で施設長の講師との接点とワンポイントアドバイスの講義が含まれます。
一般社団法人東京形成歯科研究会理事長・施設長 奥寺 元
○午前の部 ①
「ヒトインプラント周囲顎骨におけるミクロ/ナノ構造特性とその力学環境の特異性」
東京歯科大学 解剖学講座 准教授 松永 智
インプラント‐骨界面では,本来の海綿骨領域にオステオンが多数出現することが報告されている.オステオンは皮質骨の特徴的構造であることから,リモデリングメカニズムの変化であると考えられている.また骨はナノレベルでも力学環境に適応することが明らかとなっており,生体アパタイト結晶の配向性やコラーゲン線維の走行を定量評価する重要性が示唆されている.
そこで講演では,ミクロ/ナノ構造解析の結果から,生体力学的視点からみたインプラント周囲顎骨の最適化についてご紹介する.
松永 智(まつなが さとる)
2003 年 東京歯科大学卒業
2007 年 東京歯科大学大学院歯学研究科修了
2007 年 東京歯科大学・リサーチレジデント(解剖学講座)
2008 年 東京歯科大学解剖学講座・助教
2010 年 東京歯科大学解剖学講座・講師
2012 年 長期海外出張(カナダ・アルバータ大学、ミゼルコルディア病院 Visiting Professor)
2013 年 東京歯科大学復職
2014 年 東京歯科大学・准教授(解剖学講座)
公益社団法人日本口腔インプラント学会 基礎指導医
○午前の部 ②
「レーザー歯学の基礎と歯周治療への応用」
前東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 歯周病学分野 准教授
一般社団法人 日本レーザー歯学会 理事長 渡辺 久
21 世紀は光科学の時代と言われている。レーザーは人工的に発振される電磁波の一種であり、自然光と違い優れた特長を持っている。レーザーという言葉は Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation の頭文字を取って「Laser」という名称が生まれた。日本語に直すと「誘導放出による光の増幅」ということになる。誘導放出という物理現象は 1917 年アインシュタインによって予言され、1960 年、ルビーレーザーがメイマンにより初めて照射された。本講演では、レーザーの歴史、レーザー発振の原理、レーザーの種類、レーザーの適応症、レーザーは何故効くか等、レーザーの基本について解説を加え「レーザー歯学」への導入と「レーザー歯学」の魅力について語ってみたい。加えて後半ではレーザーで何ができるか、特に、歯周治療への応用を中心に、その科学的根拠と臨床症例を呈示し、レーザーの可能性について触れてみたい。
今回の認定講習会を通じて、少しでも「レーザー歯学」について理解を深めて頂ければ、望外の喜びである。
松永 智(まつなが さとる)
1977 年 東京医科歯科大学卒業
1981 年 東京医科歯科大学大学院修了(歯学博士)
1981 年 東京医科歯科大学助手採用
1987 年 東京医科歯科大学講師
1987 年 文部省長期在外研究員 ロンドン大学歯学研究所免疫部門
1992 年 東京医科歯科大学助教授
1995 年 文部省短期在外研究員 ロンドン大学、米国フォーサイス研究所
2007 年 東京医科歯科大学大学院准教授
2013 年 一般社団法人日本レーザー歯学会理事長
2014 年 共立女子大学非常勤講師
2017 年 東京医科歯科大学大学院非常勤講師
日本歯周病学会 (評議員、専門医、指導医)、日本歯科保存学会 (評議員、専門医、指導医)
日本レーザー歯学会(理事長、専門医、指導医)、日本咀嚼学会(理事、評議員)、口腔病学会(評議員)
IADR、JADR、APSP、IAP、WFLD 各会員
BioScience Trends、Laser Therapy、photomedicine Laser Surgery 各 Editorial Board
第 10 回国際レーザー歯学会 金賞(最優秀賞)ベルリン 2008 年
第 56 回秋季日本歯周病学会最優秀専門医臨床ポスター賞 前橋 2013 年
第 142 回春季日本歯科保存学会学術賞 北九州 2015 年
レーザー光照射用プローブ(特願 平 10-201901)1990 年
咀嚼食品 (特願 2000-276112)1992 年
○午後の部 ①
“ガイダンス” 「2017 年度 東京形成歯科研究会×新潟大学 共同研究」
新潟大学大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座歯科薬理学分野 准教授 川瀬 知之
「共同研究テーマ」(候補)
①糖尿病患者の血液における PRF の質的評価
②PRP 中に含まれる血小板と Ca 添加による活性化の定量的評価
③Ti インプラント表面に親和性の高い血漿タンパク(PRP に含まれる)の同定
④加熱圧延した PRF の前臨床試験(安全性と有効性の担保)
新潟大学大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座 歯科薬理学分野 准教授
日本歯科大学新潟生命歯学部 客員教授
○午後の部 ②
「マイクロスコープを使用した天然歯の保存治療」
神奈川歯科大学臨床教授・神奈川歯科大学附属横浜クリニック非常勤 三橋 晃
20 年以上も大学の保存科に残っていました。2001 年に歯科用マイクロスコープと出会ってから、その革新的なツールは天然歯をできるだけ保存するという私のミッションを強力にサポートし続けてくれました。原因もわからないまま抜歯したり、またとりあえずやってみたら何となく歯が残ったりという臨床のファジーなエアポケットがなくなり診断の精度が増していったと思っています。診断と治療手技に格段のシード権を与えるマイクロスコープを用いた天然歯を保存する診療スタイルについて臨床例も交え講演したいと思っています。
H 3 神奈川歯科大学保存修復学教室入局
H13 神奈川歯科大学附属病院かみ合わせ外来(現咬み合わせリエゾン診療科)併任
H20 神奈川歯科大学口腔医歯学系口腔治療学講座歯内療法学分野講師
H25 神奈川歯科大学大学院歯学研究科歯髄生物学講座講師(名称改名)
H26 神奈川県鎌倉市にて「鎌倉デンタルクリニック」開業
H26 神奈川歯科大学大学院歯学研究科歯髄生物学講座非常勤講師
H27 神奈川歯科大学臨床教授・神奈川歯科大学附属横浜クリニック非常勤
日本顕微鏡歯科学会指導医
日本歯科保存学会専門医
日本口腔顔面痛学会指導医
日本顕微鏡歯科学会理事
日本歯科保存学会評議委員
関東歯内療法学会副会長・常任理事