午前の部
「有病者に対するインプラント治療 -全身疾患のリスクとその対応-」
明海大学歯学部客員教授(病態診断治療学講座顎顔面外科学1) 白川正順
全世界的に超高齢社会を迎え、右を見ても左を見ても、老人と病人多数派時代がやって来た。まさに我が国は第一位にランクされる最長寿を誇っている。内科的など基礎疾患を保有し、歯科治療を行う上で、何らかの全身的配慮を必要とする患者を, 今では有病者と呼ぶことに抵抗が無い。病気のことは、むしろ患者さんの方がよく知っている時代に、一般歯科臨床医にとっても、有病者の観血的治療は日常的なものというか、避けては通れない診療域になっている。有病者のなかでも、循環器系疾患に罹患する患者さんが約 60%を占め、歯科治療中の血圧変動による臨床上のリスクが潜在していているので、その対応には十分な対応が不可欠である。具体的には、急激な血圧の変動、ショックや術中、術後の出血、術後感染などがあげられる。なかでも、術中、術後の出血は多くの場合、抗血液凝固薬を使用しているからである。抗血栓療法患者に対する観血的治療は従来からの関心事で、「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」が 2010 年 10 月に作成され、2014 年 3 月に改定された。また、(公)日本口腔インプラント学会では 2016 年インプラントの治療指針を作成し、抗血栓療法患者のインプラント施行時の考え方についても触れている。このような点から、演者は有病者に対するインプラント治療で、留意しなければならない全身的リスクについて皆さんと一緒に復習してみたいと考えている。
白川正順 医学博士
学歴及び職歴
(一社)日本先進インプラント学会理事長 (公)日本口腔外科学会名誉会員 (中)日本口腔科学会名誉会員 (一社))日本有病者歯科医療学会前理事長 |
(一社) 日本有病者歯科医療学会監事 (一社) 日本有病者歯科医療学会名誉会員 日本病院歯科口腔外科協議会名誉会員 |
国際口腔インプラント会議顧問 第 9 回WCOI、JCOIタスクフォース委員長 日本メタルフリー歯科学会常任理事 |
日本口腔がん全国ネットワーク理事 日本口腔内科学会代議員 |
午後の部
「多数歯症例について」「歯科医院経営」
一般社団法人東京形成歯科研究会理事/医療法人愛和会 エルム駅前歯科医院 理事長 増木 英郎
インプラント治療においてはインプラントの本数、インプラントの埋入位置についても考慮しなければならない点はたくさんある。
多数歯欠損になる原因としては、次々と歯が失われていき、最初は少数歯欠損に対して行われていたインプラント治療やパーシャルデンチャーがインプラント補綴に移行していくケースが圧倒的に多いのではないかと考える。
今回は、インプラントの多数歯欠損になっていく過程の要因を探りながら補綴主導型のデジタルデンティストリーの症例も踏まえていくつかの症例で検討させていただきたいと思う。
増木 英郎
医療法人愛和会 エルム駅前歯科医院 理事長
北海道大学歯学部卒業
北海道大学第二補綴入局
北海道大学歯学部硬組織発生学教室にて学位取得
北海道旭川市にてエルム駅前歯科医院開業
北海道札幌市中央区にてエルムデンタルクリニック開業
日本口腔インプラント学会認定専門医
国際インプラント学会専門医・指導医
米合衆国インプラント学会専門医・指導医
日本歯科補綴学会会員
日本歯科歯周病学会会員